債務整理・任意整理中に借入はできるのか?

債務整理や任意整理を進める中で、生活費や急な出費に対する資金が必要になることは珍しくありません。特に、予想外の支出が発生したときには、今すぐにでもお金を手に入れたいと考える方も多いでしょう。しかし、債務整理中や任意整理手続きをしている状態では、新たな借入が原則として難しくなります。金融機関は、債務整理中の方に対する貸付を慎重に判断するため、通常の借入と同じようにはいかないのが実情です。

とはいえ、状況や方法によっては、即日借入が可能なケースも存在します。例えば、特定の条件を満たすことで利用できるローンや、他の方法で緊急の資金を確保する手段があるかもしれません。この記事では、債務整理中における即日借入の可能性や、利用の際に注意すべきポイントについて詳しく解説します。債務整理を検討中または既に手続きを始めている方が、どのようにして緊急時に資金を確保できるのか、その具体的な方法について見ていきましょう。

目次

任意整理中は中小消費者金融に借入を申し込んで審査に通るか否か

中小消費者金融は、大手とは異なる市場で勝負しているため、顧客の状況に応じた柔軟な審査基準を持つ場合があります。たとえば、独自の信用評価システムを導入しており、申込者の過去の信用履歴だけでなく、「現時点での返済能力」や「将来の収入見込み」などの細かな情報を重視することが特徴です。

このため、「過去に債務整理をしたが、現在は安定した収入がある」というケースでは、ポジティブに評価されることがあります。また、一般的な金融機関が敬遠しがちな少額融資や短期融資に力を入れているため、生活費や緊急時の資金をカバーする手段として使える可能性があります。中小消費者金融は「過去を重視する大手」とは異なり、今後の返済計画をベースにした未来志向の審査を行うこともあります。

また、大手消費者金融はシステム化されたオンライン審査が一般的ですが、中小消費者金融では、対面や電話面談によって審査が進められることも多く、申込者との「人間的なつながり」を重要視する傾向があります。この面談では、単に収入や支出だけでなく、借入の理由や生活背景などが問われるため、単なる書類上の数値では測れない「信頼性」や「人柄」が評価に影響することもあります。

たとえば、借入が「必要最低限で、緊急性のある出費である」といった具体的な背景をしっかり伝えることができれば、審査担当者の理解を得られる可能性が高まります。中小消費者金融では、対話の中で「この人になら貸せるかもしれない」という信頼関係が構築されることがあり、このような人間的な視点が審査における大きな強みとなるのです。

大手消費者金融と中小消費者金融の違いは下記を参考にしてください。

項目 中小消費者金融 大手消費者金融
審査の柔軟性 比較的柔軟で、個別の事情に応じた対応を行う場合が多い 厳格な審査基準があり、信用情報や過去の履歴を重視
審査方法 対面・電話での審査もあり、申込者との面談を重視することも 主にシステムを利用した自動審査が一般的
融資金額・金利 融資金額は少額で、金利はやや高めに設定されることが多い 比較的高額の融資も可能で、大手の規模に応じた金利を設定
即日借入の可能性 柔軟な対応をするケースがあり、即日での借入が可能な場合も 即日借入可能だが、審査が厳しく、債務整理中の方には困難
対象顧客 中小企業や自営業者、信用履歴に問題がある顧客も対応可能 信用情報の良好な顧客が対象、幅広い層をカバー
リスク管理 柔軟性を重視し、信用リスクに対する独自の評価を行う 厳格なリスク管理基準に基づき、リスクの高い顧客は対象外
信用情報への依存度 現在の返済能力や収入状況に重点を置くこともある 過去の信用情報や事故情報を重視し、慎重に判断
サービスの種類 資金援助だけでなく、返済に関する相談やアドバイスも行う場合 借入に特化し、付帯サービスは少なめ
ブランド・信頼性 地域密着型が多く、独自の信頼関係を築くことが特徴 企業としてのブランド力が強く、知名度も高い
返済方法の柔軟性 返済方法の調整や再スケジュールが可能な場合がある 標準的な返済方法が多く、柔軟な対応は難しい

大手消費者金融は債務整理・任意整理中に新規借入が難しい理由

大手消費者金融は、審査の一部を自動化したシステムで行っており、このシステムには厳格な基準が組み込まれています。債務整理や任意整理の情報が信用情報機関に登録されていると、システムが自動的にリスク判定を行い、審査通過が極めて難しくなります。人による柔軟な判断が入りにくく、客観的なデータに基づいて審査を進めるため、債務整理中の新規借入は難しいのが実情です。大手消費者金融はテレビCMでもよく出てくる会社です。

会社名 金利(実質年率) 融資限度額 特徴・補足情報
アコム 3.0%~18.0% 最大800万円 初回契約の翌日から最大30日間無利息、Web完結申込
プロミス 4.5%~17.8% 最大500万円 初回借入の翌日から最大30日間無利息、インターネットからの申込で即日融資可能、アプリで借入や返済が可能
アイフル 3.0%~18.0% 最大800万円 初回契約の翌日から最大30日間無利息、本人確認のみで利用可能(条件あり)、スマホアプリで契約手続きが完了
SMBCモビット 3.0%~18.0% 最大800万円 即日融資可能、無利息期間なし、Web完結申込なら電話や郵送なしで手続き可能
レイク 4.5%~18.0% 最大500万円 無利息期間60日または180日(条件あり)、即日融資対応可能、Webでの契約手続き

信用情報で負債の管理をされて融資の可否を決めている

債務整理を行うと、信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)にその事実が登録されます。任意整理や個人再生、自己破産など、どの方法であっても「事故情報」として記録され、一般には「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態になります。この記録は、金融機関が新規の借入申請者の信用リスクを把握するためのもので、過去に債務整理をした事実はマイナス評価とされます。債務整理が記録される期間は通常5~10年とされ、その間、ほとんどの金融機関で新規借入が難しくなります。

この登録は、借入希望者が抱える負債の管理と、過剰な借入を防ぐための手段として、貸金業法の下で管理されています。信用情報は、金融機関が審査を行う際に参照するための基本情報であり、債務整理中の新たな借入は、返済能力を再評価するうえで大きなハードルと見なされるのです。

貸金業法による制限で原則貸付は避けられる

貸金業法(第13条)では、貸金業者に対し「借入人の返済能力を超えた融資を行わないこと」が義務付けられています。この規定により、返済が困難な状態にある債務整理中の人への新規貸付は原則避けられます。金融機関は貸金業法を遵守し、返済不能リスクを極力回避するため、債務整理中の人に対して追加融資を行うことを控えるのです。

また、同法第17条には、顧客の「属性情報」を基に審査を行うことが義務付けられています。属性情報とは、債務状況や返済能力に関するあらゆるデータを含み、ここに債務整理や任意整理の事実が含まれるため、金融機関はこの情報を踏まえて審査します。債務整理を行っていると、貸付を行った際に返済の見込みが少ないと判断されるため、多くの金融機関が融資を拒否する背景となります。

総量規制による影響に過剰な貸付は断られる

貸金業法に定められている「総量規制」(第13条の2)は、借入希望者の年間収入の3分の1を超える借入を禁止しています。これは、多重債務を防ぐ目的で導入され、貸金業者に対し、収入の範囲内で無理のない融資を行うように求めた規制です。債務整理中の方が追加で借入を行おうとした場合、この規制が大きな障壁となります。すでに抱えている債務が多い状態での追加借入は、総量規制の上限に抵触する可能性が高いため、新規借入が難しい要因の一つとなります。

また、この総量規制は法律違反の防止を目的としており、年収の3分の1を超えた借入が確認された場合、金融機関は厳しい罰則の対象となります。さらに、任意整理のような手続きにより、元本減額や返済スケジュールの変更が行われている場合は、既存の借入に対して返済能力が著しく制限されていると見なされます。そのため、追加の借入希望があっても、法的な制約から新規融資が否認されるケースが多くなっています。

任意整理中にどうしてもお金が必要な方向けの国の制度一覧

生活福祉資金貸付制度は無利子で借りられる

生活福祉資金貸付制度は、収入の少ない世帯や緊急の支援が必要な世帯に対して、無利子または低利での貸付を行う制度です。基本生活費や医療費、教育費の支援として利用でき、生活の安定をサポートします。申し込みは各地域の社会福祉協議会で行います。

緊急小口資金は主に失業者や収入が減った方向け

失業や収入の減少によって生活が困難になった方に、少額で無利子の資金を貸し付ける制度です。返済期間は相談の上決定され、場合によっては返済免除になることもあります。主にコロナ禍で収入が減少した方の支援として利用されています。

生活保護制度は最低限生活に必要なお金

生活保護は、生活費、医療費、教育費などの最低生活を保障し、困窮した方々が自立できるまでの支援を行う制度です。収入や資産が少なく、生活に必要な収入がない場合に利用が可能です。

一時生活支援事業は各都道府県や市区町村の制度

住居を失った方や生活が困難な方に、生活再建支援を行う事業です。住居支援や生活支援、再就職支援などが含まれ、各都道府県や市区町村が実施しています。

母子・父子家庭への支援

ひとり親家庭への生活支援や医療費助成、児童扶養手当など、子育てと生活支援を目的とした多くの支援制度が整備されています。自治体によっては、学習支援や食事の提供なども行われています。

生活困窮者自立支援制度

経済的な困窮を抱えている方に対し、就労支援や住居支援など、自立をサポートする制度です。各自治体の窓口で相談を行い、就労や生活支援に関する様々なサポートを受けられます。

労働金庫(ろうきん)による生活サポートローン

労働金庫では、一般の銀行よりも低金利の生活サポートローンが提供されています。特に経済的に困っている方に対する支援融資を行っており、無理のない返済プランで利用可能です。

住宅確保給付金は家賃相当額のサポート

住まいを失った、またはその恐れがある方を支援する給付金制度です。賃貸住宅にお住まいで、収入が減少している方に対し、家賃相当額を支給し、住居の確保をサポートします。

教育支援(奨学金や授業料減免)

経済的な事情で教育を続けることが難しい学生に対し、奨学金や授業料減免制度があります。特に、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、低所得世帯を対象とした給付型と貸与型の選択が可能です。

地域ごとの相談窓口(住居確保や生活サポート)

自治体によっては、生活や住まいに関する相談窓口が設けられており、地元で受けられる支援制度の案内や、生活困窮者向けのサポートについての相談が可能です。各市区町村の公式サイトで確認できます。

Q1. 債務整理・任意整理中に借入したい方のよくあるQA

このページでは、債務整理や任意整理中に借入を希望する方からよく寄せられる質問について、具体的な回答とともに説明します。以下のQ&Aでは、借入の可否や借入方法、注意点など、知っておくべき情報をわかりやすく整理しています。

債務整理中でも例外的に借入ができるケースや、金融機関以外の方法を含む選択肢について詳しく解説しますので、ご自身の状況に応じて参考にしてください。また、必要に応じて専門家への相談も視野に入れ、安易に新たな負債を抱えないための判断材料としてご活用ください。

Q2. 中小の消費者金融なら、即日で借りられる可能性がありますか?

A: 中小の消費者金融は、独自の審査基準を設けていることが多いため、大手よりも柔軟に対応してくれる可能性があります。ただし、債務整理中であっても現在の収入や返済能力が重視されるため、全員が借りられるわけではありません。さらに、金利が高く設定されることが多い点には注意が必要です。

Q3. 緊急でお金が必要な場合、他にどんな手段がありますか?

A: 公的支援制度である生活福祉資金貸付制度や、親族・知人からの一時的な借入を検討することができます。生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や生活が困窮している方向けに無利子または低利で資金を貸し付ける制度で、社会福祉協議会を通じて申請が可能です。

Q4. 任意整理を依頼している弁護士に相談したほうがいいですか?

A: はい、必ず相談すべきです。任意整理を進めている場合、弁護士や司法書士は返済計画を立てるためのサポートを行っています。追加で借入をすると返済計画に影響を及ぼし、手続きを妨げる可能性があるため、必ず担当の専門家に相談し、慎重に判断しましょう。

Q5. 債務整理中に無理に借りるとどうなりますか?

A: 債務整理中に無理に借入を行うと、返済計画に支障が出るだけでなく、債務がさらに増えることで、今後の生活再建がさらに困難になります。最悪の場合、返済不能に陥り、再び債務整理が必要になることも考えられます。

Q6. 「ブラックリスト」に載っていても、即日融資を受けられる手段はありますか?

A: ブラックリストに載っている状態では、新規借入が極めて難しいです。金融機関の審査は信用情報を基に行われるため、ブラックリスト状態の人は大部分の融資審査で否決されるでしょう。前述の公的支援制度や身内からの援助など、金融機関以外の方法を検討する方が現実的です。

Q7. 債務整理が完了しても、すぐに借入ができないのはなぜですか?

A: 債務整理の情報は、信用情報機関に一定期間(5~10年程度)記録されます。この間は「信用リスクが高い」とみなされ、多くの金融機関で審査が厳しくなるため、すぐに借入が難しい状況が続きます。信用情報の回復を待ち、無理のない生活再建を進めることが大切です。

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