低金利が続き、銀行にお金を預けてもなかなか増えないため、投資を始めたいと思っている人も多いのではないでしょうか?
しかしお金を借りることや投資についての学ぶ機会がないため、どのようにすればいいか分からず始められない人もいるでしょう。
結論からいうとNISAは、つみたて型も一般型も、20歳以上で日本に住んでいる人であれば年令に関係なく誰でも利用できます。
投資信託をして10万円の利益が出た場合、通常の投資信託であれば10万円の利益に対して、所得税や住民税が課税されるため、最終的に手元残る利益は約8万円。
NISAを利用すれば非課税になるため10万円を受け取れます。
今回はNISAの中でも、投資初心者にオススメのつみたてNISAについて詳しく解説します。
70代に人気の一般NISAと20代からの資産形成に適したつみたてNISA
もともと一般NISAは20代から40代が将来に向けて資産形成をしてもらうための制度としてスタートしました。
しかしながら実際の一般NISAを活用している世代は、60歳代や70歳代などまとまった資産を持っている世代が中心です。
一般型とつみたて型では年間の投資上限額が違うため、高齢になるほど短期間で集中投資したい傾向といえます。
種別 | つみたてNISA | 一般型NISA |
---|---|---|
年間投資上限 | 40万円 | 120万円 |
非課税期間 | 800万円 | 600万円 |
累計非課税投資上限 | 20年 | 5年(ロールオーバーで10年) |
年代 | 構成比 |
---|---|
20歳代 | 3.7% |
30歳代 | 10.2% |
40歳代 | 15.1% |
50歳代 | 17.5% |
60歳代 | 20.9% |
70歳代 | 21.4% |
80歳代 | 11.0% |
そこで金融庁が20歳代から40歳代の若年層に対し、将来に向けて資産形成しやすいような制度として開始したのが、つみたてNISAです。
つみたてNISAは一般NISAに比べて長期的に積み立てすることにより税金面で優遇を受けるように設計されているため、 20年後の資産形成を考えて投資を始める若年層は増加しています。
年代 | 増加率 |
---|---|
20歳代 | 9.4% |
30歳代 | 6.2% |
40歳代 | 4.2% |
50歳代 | 3.8% |
60歳代 | 1.4% |
70歳代 | 0.6% |
80歳代 | 1.9% |
つみたてNISAの投資対象商品は、金融庁が定めた基準を満たす投資信託やEFTとされており、長期的に運用することで利益を生みやすいものに限定されています。
そのため一般NISAは一括で買い付けできますが、つみたてNISAは積み立て投資のみという違いもあります。
つみたてNISAとiDeCoとの違い
iDeCoもつみたてNISAも主に20代から40代の若年層が、将来に向けて資産形成をしやすくするための制度です。
そのため、おなじような制度だと思われてしまいがちですが、iDeCoとつみたてNISAは似ているようで、実は全く別の制度です。
- iDeCoは老後資金を準備するための制度
- つみたてNISAは住宅購入資金や教育資金などさまざまなな目的に合せられる制度
と考えるといいでしょう。
種別 | つみたてNISA | iDeCo |
---|---|---|
目的 | 老後の生活費の準備に限らないため、年齢の上限なし。70歳以上でも利用できる | 確定拠出年金法に基づいて実施される私的年金制度のため、老後の生活費の準備が目的。原則60歳まで |
掛け金 | 所得税控除の対象にはならない | 全額所得税控除の対象となり年末調整か確定申告の時に手続きをすれば税金が安くなる |
手数料 | 口座開設手数料や維持費は不要。年間の投資限度額や投資可能な商品はつみたてNISAで異なる | 口座開設費用と維持費が必要 |
運用金 | いつでも売却してお金を引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
つみたてNISAは運用益の増加を複利で加速できる
つみたてNISAは積立投資専用のNISAです。そのため長期間コツコツ運用することで、多くのメリットがあります。
一番のメリットは複利運用することで、わずかな資金でもしっかり資産を増やせます。 複利運用することで、10年、20年と長く運用すればするほど、お金が増えるスピードが早くなります。
複利運用とは、運用で出た利益をそのまま元金にプラスした状態で一緒に運用する方法のことです。
つみたてNISAなら運用益は非課税扱いのため、通常の投資信託に比べると元本に上乗せする運用益が多くなるので、そのぶんお金が増えるスピードがアップします。
また投資初心者でも安心して投資を始められるのも、つみたてNISAのメリットです。 つみたてNISAの商品は、金融庁が選んだ長期投資に向いている商品の中から選ぶため、初心者でも安心して選べます。
ただしあくまでも投資信託などの投資商品を利用するため、経済状況によって元本が割れたとしても、元本保証はありません。
しかし、つみたてNISAは長期的に運用することが前提のため、10年、20年と長期間運用することでお金が増えている可能性が高いといえます。
つみたてNISAは原本割れする可能性がある
長期的に運用する方法としてメリットの多いつみたてNISAですが、デメリットもあります。
まずはつみたてNISAが運用する商品は投資信託やEFTです。そのため運用中に元本割れしてしまう恐れがあり、元本は保証されません。
また投資可能な商品が限定されている点も、すでに投資をしている人や幅広くいろいろな商品から選びたい人にとっては、デメリットこの点はデメリットと言えるでしょう。
また損益控除にならないため、複数の証券口座で投資をしている人にとってはこの点もデメリットと言えます。
つみたてNISAの始めかた
つみたてNISAを始めるときは、銀行や証券会社で専用の口座を開いて取り引きを開始します。
オンライン申し込みが主流ですが、銀行の場合は来店が必要なこともあります。
金融機関を決める
まずは金融機関を決めましょう。
つみたてNISAの場合どの金融機関を選んだとしても口座手数料や維持費は発生しません。
金融機関の選ぶ時にチェックしたいポイントは3つ。
取扱商品の多い会社選びましょう
つみたてNISAは金融庁が認定した商品の中から買い付ける商品を選びます。
金融機関によって取扱商品が異なり、取り扱い数は金融機関によって差があります。
そのためつみたてNISAの対象商品を多く扱う金融機関のほうが、自分にとってベストな商品を選べます。
毎月の最低つみたて金額が自分に合っているか
最低つみたて金額も金融機関によって異なります。
金融機関によっては、最低つみたて金額が1万円のところも。一般的に銀行なら月々1,000円からネット系の証券会社なら月々100円から始められます。
つみたてNISAは長期間積み立てることでお金を増やしていくため、無理のない金額でスタートする金融機関を選ぶようにしましょう。
サービス面をチェック
対面でのサポートが受けられるかどうか、またネット証券の場合は、投資信託の月額保有残高に応じで、ポイントを付与するサービスを採用しています。
そのため楽天証券やSBI証券などポイントプログラムを採用している会社を選ぶ場合は、ポイント還元率も合せてチェックするといいでしょう。
口座を開設する
金融機関が決まったら口座を開設しましょう。
申し込み用紙を返送した後、金融機関で書類に不備がないかどうか、税務署では複数の口座を開設していないか審査が入ります。
そのため口座を開設し、実際に運用をスタートするまでにおおよそ1ヶ月程度かかります。
口座を開設する金融機関が決まったらまずは申し込みに必要な書類を取り寄せましょう。
あわせて免許証や健康保険証のコピーなど本人確認書類を準備してください。
また申し込み時に、マイナンバーが必要になるため、分からない場合は事前に公式サイトで調べておきましょう。
もし通知カードを紛失してしまい、マイナンバーが分からない場合は、市区町村役場で再発行してもらいましょう。 再発行の際には本人確認書類と再発行手数料が必要です。
また受け取りまで1ヶ月前後時間がかかってしまうため、早めに手続きをしておきましょう。
書類を返送し、審査が終わると、金融機関から口座開設の通知が届いて、口座開設の手続きは終了です。
入金手続きをする
口座を開設したら、入金手続きをしてつみたて設定を行います。
つみたてNISAの年間投資額の上限は40万円です。そのため40万円入金しておけば、1年間は入金手続きは不要です。
毎月投資する場合は、1ヶ月のつみたて金額の上限は33,333円です。
1ヶ月の最低投資額は金融機関によって異なるため、最低投資額から33,333円の範囲内で毎月の積立額を決め、つみたて設定をしましょう。
つみたてNISAをする上で注意したいこと
つみたてNISAをスタートするにあたり、注意したいことが2つあります。
非課税枠を持ち越せない
例えば2019年の投資額が10万円で非課税枠が30万円残っていたとしても、2020年の非課税枠は40万円です。
つまり非課税枠を翌年に持ち越せないため注意してください。
また30万円分購入後、同じ年に10万円分売却したとしても、その年の残りの非課税枠は10万円です。つまり売却によって非課税枠は復活しません。
持っている金融商品を売却し、新たに購入した場合も新規購入になるため、非課税枠を使うことになってしまいます。
また分配金を再投資する場合も新規購入に該当してしまうので、非課税枠を使うことになります。そのため分配金を考慮した上で、積立金額を決めましょう。
一般NISAとつみたてNISAを同時にすることができない
そのためすでに一般NISAをしている場合は、一般NISAからつみたてNISAへ口座変更の手続きをしなければいけません。
すでにある口座から資産を移し替えられないため、口座を変更する場合は、変更前の口座でそのまま運用を続けて、新たに口座を開設し、新規に買い付けを行う必要があります。
また、つみたてNISAの口座を別の金融機関へ変更する場合もおなじです。
例えばA社からB社へ金融機関を変更する際は、A社の口座にある資産をB社へ移し替えられないため、A社の資産を売却せずに運用だけ行い、新規の買い付けはB社の口座で行います。
つみたてNISAが向いている人
一般NISAや、つみたてNISAそれ以外にはiDeCoなど、どの制度が自分に向いているのか、分からない人も多いのではないでしょうか。
ここではつみたてNISAが向いている人について具体的に解説します。
投資初心者
国内で販売されている投資信託の本数は約6000本と言われています。
その中から自分にとって、最適なものを見つけるのは至難の技です。特に投資初心者は、どれを選んでいいか分からないでしょう。
しかしつみたてNISAで購入する投資信託は、あらかじめ金融庁によって長期的に運用することでしっかりと資産形成につながるという基準のもとにセレクトしています。
まとまった資金がない人
つみたてNISAは年間の投資額の上限が40万円まで、投資方法を積立投資だけです。
そのためまとまった資金があったとしても一括投資ができません。またいくら資金があったとしても40万円以上投資することもできません。
この点からつみたてNISAはまとまった資金がない人に向いています。
住宅購入費や教育費を準備したい人
つみたてNISAは積み立てているお金をいつでも引き出せます。
例えば20代で独身の場合、老後の資金よりも前に、住宅購入資金や、子供の教育費のためにまとまったお金が必要になります。
iDeCoの場合は60歳になるまでお金を引き出せないので、これらのお金の準備ができません。
しかし、つみたてNISAであればいつでも引き出せるため、住宅購入費用や教育費を準備したい人に向いています。
ただし積立期間が短すぎると、元本割れのリスクが高くなってしまいます。そのため積立期間を10年以上確保するように資金計画を立てましょう。
iDeCoで所得控除を受けられない人
専業主婦(夫)や年収100万円以下の人は所得税や住民税を納める必要がありません。そのためiDeCoの場合は掛け金の所得税控除の恩恵を受られません。
またiDeCoの場合つみたてNISAと違い口座開設費用や、毎年維持費が発生します。
このような理由からiDeCoで所得税控除がない人にとっては、つみたてNISAのほうがメリット多いこともあります。
つみたてNISAは初心者の長期運用に最適な投資
つみたてNISAは長期的に資産を増やす方法として最適な制度です。
投資を始めたいけど、どの商品を選べばいいか分からない人にとっては、力強い味方になってくれます。
特に20代や30代の場合、老後資金よりも前に、住宅購入費用や子供の教育費用などまとまったお金が必要になります。
これらの費用を準備するには、つみたてNISAが最適な方法です。